「フェミ系ヒステリーが怒るな」

イボナメクジの愛称で親しまれている小林よしりん先生は後の世にどのように評価されるのか。
それを1番気にしているのは誰あろう小林よしりんその人でしょう。
手塚赤塚のようにマンガの神として讃えられることは期待出来ませんので、文化的な評価を求めるのは諦めるしかありません。
だから小林よしりんは政治的な方向で何かを成し遂げようと見苦しく足掻いて来たわけです。

よしりんマンガは文化的な側面、つまりはマンガ表現として見た場合は見るも無惨な稚拙さであり(特にSAPIO移籍以降)、政治的な側面で評価するしかありません。
で、その政治主張に関しては、各々が支持するイデオロギーによって評価が違ってくるでしょう。
市民運動批判の脱正義論、大東亜戦争肯定の戦争論、教科書運動以降の右派との親睦、原発事故の恐怖から左派への再接近と自然派志向、右派との仲違いから皇統女系派転向などなど、それらに関してはあくまで思想的な立場で評価が違って来るわけで、はっきり言ってどうでもいい。
致命的だったのは、コンサバかリベラルか以前、思想云々を抜きにした事象に対する対応、振る舞いや言説のヤバみです。
そう、現在進行形であるコロナ禍における氏の言動のトンデモぶりが、これまでのキャリアをすべて吹っ飛ばしました。
私はコロナ禍以前から小林よしりんを批判的に批評してきましたが、コロナを経たお陰で氏のデタラメさがより分かりやすい形で表に現れたと思っています。

小林よしりんは別にコロナ論からおかしくなったわけではなく、原発論の時も戦争論の時も、それこそオウム事件以前から別に論理的であったわけでもなく、いい加減な主観で適当なことをでっち上げていただけでした。
その適当さも含め、かつての読者は面白がっていたわけですが、いつの頃からか、それこそ創価やオウムの信者が名誉会長や尊師の発言をすべて真に受けるように、小林の主張を教義として受け止める読者が集まり、そうではない単なる面白がりの読者はそれが可視化されるやドン引きして潮が引くように去っていったわけです。

大半の読者は興味がなくなれば黙ってフェイドアウトするわけですが、考察好きだったり、内省的だったりする読者は小林よしりんの言説にまったく惹かれなくなったあとも研究対象としてウォッチを続けました。
オウム信仰がなくてもオウム真理教を追い続けたかつてのオウムウォッチャーみたいなものですね。
今で言えば鈴木エイト的な立ち位置です。


さて、ここから備忘録的な回顧録です。

2019年、映画「空母いぶき」で首相役を演じた佐藤浩市について、小林よしりんは映画を観たわけでもないのに大絶賛するブログをアップしました。

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権力に対する批判精神だけは失ってはならない。佐藤浩市はそれを持っているから男である。
・・・と言ったらフェミ系ヒステリーが怒るな。》

リテラシーのカケラもない小林よしりん先生はネットニュースを鵜呑みにして、佐藤浩市を讃えていますが、当の佐藤浩市は安倍首相を揶揄する発言などしてはいません。

作家の百田尚樹氏はツイッターで<三流役者が、えらそうに!!><思想的にかぶれた役者のたわごと><「下痢する弱い首相にしてくれ」という一役者の要求に、脚本をそう変えたと聞いて、もう絶対に観ないときめた>と怒りの投稿を連発した。
幻冬舎社長の見城徹氏も<最初から首相を貶(おとし)める政治的な目的で首相役を演じている映画など観たくもない。>などと投稿した。
漫画家の小林よしのり氏はブログで「ネトウヨどもがギャーコラネットで騒いでいるらしい。(中略)権力に対する批判精神を持っているのは立派なことだ」と佐藤を擁護した。
本人を差し置いて、「反発派」と「擁護派」が場外乱闘を繰り広げる格好。成蹊大の西兼志教授(メディア論)は「今回の炎上は空騒ぎ」だと指摘する。
「きっかけとなった投稿は火種ですらないんです。安倍首相を想起させる含みはありますが、『都合よく切り取った』先の『再編集する』というフェイクニュースの作法はなく、映画に関心がなくなったと言っているだけ。佐藤さんも役者として役作りについて話しただけで、火種もないのに“炎上”したんです。否定的な発言は偏った思い込みによるものでしょう」

佐藤 最初は絶対やりたくないと思いました(笑)いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね。でも、監督やプロデューサーと「僕がやるんだったらこの垂水総理をどういう風にアレンジできるか」という話し合いをしながら引き受けました。そしてこの映画での少し優柔不断な、どこかクジ運の悪さみたいなものを感じながらも最終的にはこの国の形を考える総理、自分にとっても国にとっても民にとっても、何が正解なのかを彼の中で導き出せるよな総理にしたいと思ったんです。
佐藤 これはある政治家の人から聞いたのですが、どんな人でも総理になると決まった瞬間に人が変わるっていうんです。それぐらい、背負っていくものに対する責任を感じる。人間というのはそういうものなんですね。
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小林よしのりは真偽不確かなネットの情報をソースに途方もなくアホなブログ記事を書いているのです。
新潟のアイドルの話題の時と同じです。


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NGT48の強姦未遂事件について書いているが、ネタ元はネットだ。「憶測」という批判は受け付けない。憶測なら、運営が疑惑を晴らす責任がある。運営は確実に事件を「隠蔽」しているのだ。》

陰謀論者の常套句「確実に事件を隠蔽している」いただきました!

話を戻して、佐藤浩市のインタビューが載っているのは小学館の漫画誌でした。
いくら落ち目とはいえ、小林にだって小学館の担当編集者はついているでしょう。そいつに頼んで、その漫画誌を取り寄せて、インタビュー記事を読んでから意見をすべきなのに、その手間を怠り、ネット情報を元にトンチンカンなことを放言してみせた小林よしりん。

これはコロナ禍以前の出来事です。

小林は陰謀論や明らかなデマを拡散しても、その責任をとったためしがありません。
それどころか次のように居直るのです。

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ブログはギャラが入る文章ではないし、なるべく短時間で一気に書くから、正確ではない部分もあるだろう。 
ブログくらい無責任に書かせてほしい。タダなんだから!
ギャラももらわずに責任あるブログなんて書けるかよ!

「報酬がない文章ならば、いくらデマを拡散しても許される」
小林よしのりはそう放言しました。
ちなみに小林よしのりライジングは有料記事です。
このような人間を信用するのがゴー宣道場参加者であるわけです。
驚きだよ。悲しいことだよ。


この記事へのコメント

2023年07月20日 22:02
>玉川徹氏「コロナは大した病気ではない」でSNS沸騰…“玉川節” 復活で思い出される「電通発言」の過去
>https://news.yahoo.co.jp/articles/6cb51c76b66dce63c19df782de06a70fbaba1cf9

「謝ったら死ぬ病」さんは、その玉川徹の記事を引用することで、
小林よしのりのコロナに関するどの主張が正しかったとおっしゃりたいんですか?
謝ったら死ぬ病
2023年07月18日 06:26
現在進行形であるコロナ禍における氏の言動のトンデモぶりねぇ…

玉川徹氏「コロナは大した病気ではない」でSNS沸騰…“玉川節” 復活で思い出される「電通発言」の過去
https://news.yahoo.co.jp/articles/6cb51c76b66dce63c19df782de06a70fbaba1cf9

コロナに関しては正しいこと言ってたんじゃないですかね
でもアンチの人は謝ったら死ぬ…というより
小林よしのりの正しさを認めたら死んじゃうんですよね可哀想に
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2023年07月14日 19:28
だいぶ間があいてしまいましたが、以前に予告したとおり、小谷野敦と小林よしのりの論争について書いてみたいと思います。

これは、小林が『天皇論』に「近世の庶民は天皇を知っていた」と描いたのを、小谷野敦に「いや、知らなかった」と批判され、何度か応酬したのち、返答に窮した小林がダンマリのまま遁走をキメたという出来事です。
なぜ近世の庶民が天皇を知っていたなどと力説する必要があるのかといえば、小林のような尊皇家と称する人たちは、「日本人は歴史的に天皇を尊崇してきた」とか「天皇と庶民は相思相愛であった」とか言い、だから天皇制は存続したのだ、などという虚構を主張したがるもので、それが庶民は天皇の存在すら知らなかったとなると両思いとかいう以前の話になってしまうので否定したかったのでしょうが、あえなく「論破」されてしまった次第です。

この論争の小林側の応答はSAPIOでの連載の中でおこなわれており当然、原稿料を得ながらだったのですが、小谷野敦の側はブログでおこなっていたのでロハでした。
鷲ヲさんもご指摘のとおり、小林は、「ブログはタダなので無責任に書く、ギャラもらって雑誌に書くなら緻密に書く」などとバカ丸出しの主張をしていました。ところがじっさいには、小林はギャラを貰いながら雑誌に謬論を書き、小谷野敦はノーギャラでブログにて緻密な批判をし、返答に窮した小林は誤りを認めることも謝罪することもなく、謬論を放置したままダンマリで議論から逃走したのです。
小林と同じ大学で学生運動していたというレーニンマンならこう言うのではないでしょうか。

「小林、ブログは金貰えないから無責任でいいと言ってる奴が、金さえ貰えば緻密なものを書くと言っても俺は信じない」

論争の具体的な内容は小谷野敦の著書『天皇制批判の常識』に掲載されていますが、この中で小谷野は、「小林よしのりとも、気持ちよく論争ができた」と記しており、かねて私は、「正直者」を標榜する小谷野にしては随分甘いんじゃないか?と疑念に思っていたのですが、今回読み直してみると、そもそも小谷野が批判をしても反論をかえす者自体がほぼ皆無なこと、また他の保守論客の卑怯なふるまいをいくつか挙げた上で、このような連中に比べれば小林よしのりは反論してきただけマシという文脈でした。さらに小谷野のツイッターを小林よしのりで検索してみたところ、小林よしのりのことは天皇論争から逃げて以降は信用していないとツイートしていました(2020年8月17日や2022年10月15日)。
そりゃあそうだよねということで、疑念は消えた次第です。
朝日新聞が慰安婦問題などで謝罪した際、小林は「わしが朝日を守ってやるよ」などと偉そうなブログをあげていた記憶がありますが、この際も小谷野敦は「しかし間違いを認めるだけいいよ朝日新聞は。小林よしのりや高森明勅よりまし。」(2014年8月30日)とツイートしています。

さて、ここで高森明勅の名前が出てきましたが、いつものことですが、小林は自分で何かを研究しているわけではないので、何かの説を主張する時というのは、どんなに偉そうに自信満々に見えてもそれは誰かの説の受け売りであり、乗っかっているだけです。
この「近世庶民は天皇を知っていた説」は実は高森説の受け売りなのであり、だから小谷野敦は実質的に高森明勅を批判していたわけなのでこのようなツイートになったのです。
この件に関して、頭脳は高森であり、小林は合体ロボのお絵かき用パーツに過ぎなかった(笑)。

そうしてみると高森というのもずいぶん酷い奴で、自分の説をわざわざ絵解き漫画にしてくれた小林がその説のためにやり込められて無様に遁走するしかなかったというのに、最後まで全面に出てきて小谷野に反論するなどのアクションは起こさなかったわけです。
もっとも、高森がドイヒーなのはこれ以前から分かっていたことであり、私は学者としてもまったく信用していません。一例を挙げておくと、『日本を貶めた10人の売国政治家』という本があり、高森も寄稿して村山富市を口を極めて批判しています。この中で高森は、阪神淡路大震災の時に陸自に派遣出動命令が下った際、自衛隊嫌いの村山のせいで人員が3000人に限られたとしています。3000人などと具体的な数字が挙げてあるので本当のことだと思わされそうになりますが、これは完全なるデマであり、ネトウヨがネット上にまことしやかに流しているもので出典は存在しません。高森はこれを真に受けて裏取りもせずに本に載せ、ギャラを貰いながら世間に謬論を広めたのです。村山のことを「慙死すべき政治家」などとしていますが、学者として死んでいるのは高森のほうではないか?

「新しい歴史教科書をつくる会」でつるんでいた学者たちが小林のもとから離れていく中、高森だけはつるみ続けているわけだが、両者ともにこのように物事に対していい加減なので気が合うのかも知れない。小林は議論から遁走するハメになった際に高森に文句のひとつも言わなかったのだろうかと思ったりしましたが、特に気にもしなかったのかしれないですね。世間に謬論を広めようがなんだろうが、まずくなったら逃げりゃええとしか思ってないのかもね。

このように自分たちの間違いを認めることもせず、議論からダンマリ逃走する連中が師範を称しているのがゴー宣道場であり、それに対してツッコミを入れることもできないのがゴー宣シンパですから、こんな連中がナニ祭りを開催しようが世間一般に受け入れられることはないでしょう。少しでも知性のある者は去り、残った連中同士ですら足の引っ張り合いをして蠱毒のように害悪性を強めているのですから、カルトと呼ばれるのも当然でありましょう。
購読者の子
2023年07月04日 21:07
原発事故については、議論が必要だったわけでもなく、科学的なり放射線物理学なり事実を正しく学ぶことが必要だったのではないでしょうか。

だからこそのコロナ禍でのこのていたらくだったのではないかと…

かつての鷲ヲさんの発言を見て気になった所を私から少しツッコミを入れておきましょうか。

被曝した瓦礫を全国に拡散させるべきだとのたまい、それが責任ある大人の態度であると狂気の目をぎらつかせて叫んだり。

まず、被曝とは人体が放射線にさらされることを言いますから瓦礫が被曝する事はありません。
私にとって震災瓦礫の広域処理については、身近なことであり、震災瓦礫の受け入れ反対運動については呆れるほかありませんでした。

さて、長くなってしまいましたが震災瓦礫の広域処理において健康被害はあったのでしょうか?
放射線量など健康被害が懸念されるレベルだったのでしょうか?

鷲ヲさんにこういったことを言ったところで今さらかもしれませんが…

本来なら道場とはこういうツッコミがあるべき場所であってほしかったと思いますね…