果たして熱くて深い皇統談義だったのか?
《宛名書きの仕事をメーリスで頼んだけど、よっしーさんが一番に名乗りをあげてくれた。よっしーさん採用!》
宛名書きの仕事…
まさか次の新刊の献本の宛名書きじゃないですよね?
そんなのは事務員の雑用ですし、仕事として外注に出すとしてもギャランティが発生するものです。
なのに、もしやまたしも無償労働をシンパにさせるつもりなのでしょうか…
それを恥とも思わず公然とブログに書くとか、いやはや、落ちるところまで落ちましたね。
さてはて、それはともかく、どうやら当方ブログでの皇統談義もそろそろ落ち着いたようですので、以下にコメントをまとめたはてなブログのリンクを貼っておきましょう。
いわゆる男系派の皆さんもゴー宣道場シンパのマヌケ共もよく読んで参考にしたら良いと思います。
《いちおう鷲ヲさんに反論しておくと、女性皇族や女系で天皇の血を引く人の即位を主張する人の多くは、秋篠宮殿下や悠仁様が天皇に相応しくないとは言っていません。
愛子さまと悠仁さまのどちらが天皇に相応しいかという話ではなく、現代において男女で扱いが違うことの不公正や、皇室の存続を危うくしてまで男系継承を堅持するべきかという点から女系への継承拡大を主張しているのでしょう。》
《ナクラさんは、まるで時の政府が勝手な法律をデッチ上げて天皇を無理やり従わせているかのような書きぶりで、だから皇嗣を文仁親王とした宣明も天皇の意志ではないとしますが、それなら何をもって天皇の意志とするというのか? 何か説得力のある根拠を示せるのでしょうか? 一般国民としては、天皇が公に表明されたことを受けとめればいいのでは? 逆に天皇が私心を出せないのをイイコトに「我こそが天皇の真意を知るものなり」という輩をのさばらせるほうが問題だろうと感じます。》
《エドマンド・バークの言葉を借りるなら、人間の理性には限界があり、誤謬をおかすものだということです。革命後のフランスで、「反革命的」とみなされた人々が次々と断頭台に送られたように、急進的な理性主義はしばしば取り返しのつかない過ちを招きます。》
《たとえば共産党が女系継承を容認しているのは確信犯ですが、そうではなく単に無知で歴史観を持ち合わせていない方も多い気がします。》
《女系継承を推進しても、皇統が安定するということにはなりません。なんでそう考えられるのかがわかりません。 女系推進派のおっしゃることは、乱暴な言い方かもしれませんが、皇統は危機なので、今のうちにさっさと潰してしまおう、と考えているようにしか感じられないのです。共産党に近い革命思想と思うゆえんです。》
《皇統は血統主義です。これは本質的に差別的で前近代的なシステムなのです。》
《過去において、皇統が直系長子優先で繋がれてきたことはなく、あくまでも父系によって繋がれてきました。時には遠い傍系に移してもその原理原則は2000年もの間徹底的に守られてきたのです。》
《各種世論調査で女性天皇、女系天皇容認が7、8割に達する一方で男系維持が1割程度という結果をみても明らかです。
これに対し男系派のかたは、それは理解も畏怖も足りないからだというのでしょう。宗教ビリーバーの「信仰が足りない、地獄に落ちるぞ」という脅し文句と同じで精神的圧迫を感じてしまいます。》
《私が「畏怖の念がたりない」と申しあげたのは皇室に対する信仰についてではありません。我々の祖先が途方もなく長い期間ひたすら守ってきたシステム、そのことに対する畏怖の念が足りないと申し上げたのです。
そこを軽視し理性主義で根本的に変えてしまおうと考えるのは革命思想に他なりません。》
《2000年間どんな権力者でも手を触れられなかった絶対的な掟をいとも簡単に乗り越えられると思っている近代進歩主義者たちの傲慢ぶりこそが真に恐ろしいものかと思います。》
《shinkimuさんは「父系を続けてきたことによる最大のメリット」としていますが、これは「天皇が存在したことによる日本史の特徴」とは言えても、「父系の」という限定や断定をすることはできないでしょう。女系や双系だったら滅ぼされていたという史料でもあるなら別ですが。
もうひとつ、「我々の祖先が途方もなく長い期間ひたすら守ってきたシステム」「2000年間どんな権力者でも手を触れられなかった絶対的な掟」などの言い方は男系継承信仰のバイアスがかかったものにすぎないと思います。》
《「父系継承」という仕組みの最大の恩恵は、女性は外部から皇室内に入ることができたが、男性は一切入れなかったということです。
その仕組みこそが、京都御所にはお堀がなく、「権威と権力が分離」された状態で、2000年以上にわたって「シラス」の統治が続いてきたというキーなのです。》
《shinkimuさんは、「父系を続けてきたことによる最大のメリット」として「権威と権力の分離」を、「父系継承という仕組みの最大の恩恵」として男系派がよく口にする「男系継承は女性排除ではななく実は男性排除だった」というものをあげています。》
《「権威と権力の分離」は、「父系の天皇」というような限定はできないものの「天皇が存在したことによる日本史の特徴」であることは確かです。
しかしshinkimuさんの仰るような「どんな権力者も畏れ多くて手を出せなかったから」というような神秘的なものではなく、朝廷側は権威を与える役割を担うことで自分の存在価値を示すことに成功し、権力者側もそのほうが支配していくうえで都合が良いという人智であり、現実的かつ合理的な理由によるものです。》
《現在の御所の大部分は幕末に造られたもので、それ以前のものにお堀があったのか知らないですが、天皇の政治利用は盛んだったので御所は何度も襲撃されていますし、それに対する護衛もついていました。つまり権力者による「玉の奪い合い」です。これは「天皇は学問だけやっていれば良い」と京に押し込められた江戸時代をはさみ、幕末にまた繰り返されたのはご存知の通りです。
シラス統治で国を鎮めてきたというようなものは、記紀における理想の天皇像であって、実際は権力争いの渦中、平和になれば隔離状態というものでした。》
《「男系維持は実は男性排除」という物言いは、女性排除批判に対して、逆のことを言って意表を突き、言い負かしてやろうというレトリック的な思い付きに過ぎないんじゃないでしょうか。まさに賢しらな人智であると思います。》
《「玉の奪い合い」や、「天皇の政治利用」なども長い歴史の中で何度も行われたことは事実ですし、権力争いの中で皇室が影響力を失ったり、政治の実権を失ったりすることもありましたが、ただひとつ言えることは、前述した通り、直接的に皇室を倒して自らがその上に立とうとした権力者はいなかったということです。》
《「婚姻により外部から皇室に不届き者が入ってくる可能性」は、男性天皇であっても女性天皇であってももちろんゼロにすることはできません。
ただし、男性天皇の場合は、男系限定継承の原則が採用されている限り、天皇となる男性の家系が維持されることが求められるので、そこには安全装置があるわけです。それを外してしまっていいのかということです。》
《仮に男系に加えて女系天皇が認められたとしても「天皇の血を引くものだけが天皇になる」という原則はなくなりませんよね。だったらそれが「安全装置」になるではないですか。天皇の血統を差し置いて仮想敵国からきた工作員の配偶者が皇位につくわけじゃないでしょう。》
《男系の場合のみしか「安全装置」が働かないという説明は誤りだと思います。》
《女系天皇が認められたとしても「天皇の血を引くものだけが天皇になる」ということには違いありませんが、それまで一本の線でずっと続いてきた父系原理は崩れて、別系の王朝になるという事態であることも一面の真実なわけです。
それは外敵からの安全装置は外されているということになりませんか。》
《血統主義が変わるわけではないのだから、女系容認でも安全装置は働いているとしなければ筋が通らない。その上で、男系オンリーのほうが条件は厳しいので「セキュリティーレベルが高い」とは言おうと思えば言えるかなという感じです。》
《もはや万策尽きた、という状況ならいざ知らず、悠仁親王という、誰が見ても明らかな正統性を有した皇位継承者が存在するにもかかわらず、それを廃嫡させ、愛子内親王に皇位継承させたいと考える人たちの、(佐藤優さん風にいうところの)「内在的論理」が、どうしても理解ができず、首を捻っているというのが正直なところです。》
《シラス両思い論についてですが、私はすでに「それは神話ですから史実と混同するのはやめてください」と言っています。
もう一度言いますが、「天皇と民が両思いだったから天皇制は続いてきたのだ、それがシラスだ」などというのは、「そうだったらいいな」という願望であり妄想ですから、妄想を史実かのように主張するのはおやめ下さい。》
《本居宣長の研究をねじ曲げたのが明治憲法の草案作成時の井上毅でした。
シラスは皇室独自の統治理念であるとか、シラスとウシハクを対立概念であるように言い、天皇はシラスだから素晴らしいとかいった言説は、この時に井上がでっち上げたものです。》
《未だにシラス論を唱えているということは、井上毅や国家主義運動時の言説を無批判に繰り返しているということ。小林よしのりもその一人ですね。》
《折々書いてきたように私は天皇教に対して非信仰者です。なので男系オンリー派でも女系容認派でもありません。両者はどちらも天皇礼賛主義ですから。》
《shinkimuさんは、ナクラさんとのやりとりの頃から、男系継承の万策が尽きたのならいざしらずというような、男系維持がいよいよ無理となったら女系も認めて良いような発言をしています。》
《そんなことを言うのなら、その「男系の万策尽きて、かつその時点からなら女系容認に切り替えても間に合う」というデッドラインとはどこなのかを明示しなければズルいでしょう。しかし現実的にみて変数が多すぎるのでそれを示すのは不可能でしょう。》
《ふつうなるべく余裕のあるうちに手を打つわけでしょう。悠仁親王が存在するのにと言いますが、存在するうちが花なわけです。現時点がどれくらい余裕があるのかないのか正確なところはこの先、過去として振り返ってみて初めてわかるわけですから。女系容認の人たちが今のうちにと言っているのは、そんなに首を捻るようなことだとは思いませんけど。》
上に切り取ったやりとりはリンク先皇統談義のごく一部であるので、すべて通読するのにそれほど時間も取られない程度の分量ですから、サクサクっと読んでもらえたらありがたいです。
読めば分かる話なのですが、いわゆる女系派を一方的に否定している内容ではなく、むしろ女系派にとっては好都合な意見もしっかり取り上げられています。
しかし私がコメント欄での皇統談義をTwitterで紹介したところ、イボ小林のシンパが茶化してきました。
まさに文章を読めない馬鹿、または読まずに混ぜっ返す馬鹿、そんな馬鹿しかいないのがゴー宣道場界隈であることがまた証明されました。
ともあれ、当方ブログコメント欄で今後も皇統談義など自由闊達な議論をしていただいて構いませんので、ご気軽にコメント投稿してください。
お待ちしております。
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