天皇はあらゆる自由を奪われた生贄か?

イボナメクジこと小林よしのりが主宰者であるゴー宣道場にかつて門弟として在籍していたshinkimuさんが、皇位継承について敬宮内親王ご自身が王位争奪戦に参加することを望まれていることは1万パーセントありえないというような内容のコメントをしたことは既に当方ブログで紹介しました。

「愛子様ご自身はご自身が天皇になることを望んでいらっしゃるのでしょうか」という素朴なシンパからの疑問に慌てふためくカレーや小林さんが面白かったです。
そんなこと1万パーセントありえません。
今上陛下や雅子皇后がそれを望んでいるということも、私、賭けてもいいですが、あり得るわけないです笑》(shinkimuさん)

その意見について、次の疑義が呈されました。

言い切る根拠はあるのですか。
確かに、天皇陛下は「愛子を天皇に」と仰ったことはない(政治は触れられない)のですが、望んでいないとは判断できないはずです。
天皇陛下は、「日本国憲法を順守する」と宣言していますので、世襲でつなぐことを望んでいると拝察しています。
そんなことは無いと断言される根拠を示してください。》(ナクラさん)

このナクラさんの疑義に対して、shinkimuさんは以下の回答をしました。

ナクラさんに対する回答

天皇陛下は2020年11月8日に、皇室典範(日本国憲法第2条および第5条により定められた日本の法律)に基づき執り行われた立皇嗣の礼において
「本日ここに、立皇嗣宣明の儀を行い、文仁親王が皇嗣であることを、広く内外に宣明します」
と明確に述べられていますよね?
天皇陛下のご意志については、それで十分ではないかと思います。
内心では実は、これをひっくり返して、自分の娘に皇位を継がせたいと考えていると仰るなら、その根拠こそ知りたいですが。
ゴー宣道場の方々が好きな「一般常識」で考えればそんなことありえないことくらいはわかるのではないでしょうか。
こういう誰もがそこらじゅうに書いていることを訳知り顔で書くのももうやめにしたいですが、一応書きました。》(shinkimuさん)

天皇に限らず、他人の内心など当人が公言しない限り誰にも分からないので、これ以降のやりとりは不毛なことになる気がしないでもないですが、男系継承(現状維持)派と女系継承容認派が冷静な対話を試みているという点では有意義であると思いますので、以後のやりとりも紹介させていただきます。

回答ありがとうございます。
立皇嗣の礼は、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」に基づいて実施されました。
これは、政府(国会も含みますが)の意思です。政府に言われれば、天皇陛下には拒否はできません。責任は政府にあります。
これをもって天皇陛下の意思とするのは、無理があると思います。
また、皇嗣というのは、「皇位継承順位1位」の意味ですから、もし皇室典範が改正され、皇位継承順位が変更されれば、敬宮愛子内親王殿下が皇嗣となりうる訳です。(この場合は、皇太子ですが・・)
ですから、天皇陛下が一時な間違いした訳でもないと思っています。
結論的には、私は納得できません。
人様のブログで論争するのは迷惑をかけますので、私もこれ以上コメントしません。》(ナクラさん)

ナクラさんのおっしゃる通り、大御心というものが必ずしも天皇陛下個人としてのお気持ちではないというのはその通りだと思います。
天皇および皇族には一般国民に認められている自由や権利はほとんど無く、ご自身の意思を自由に表明する権利すらありません。
「天皇は、国の安寧を守るために、あらゆる自由を奪われた生贄ではないか?」と、かつて小林さんもおっしゃっていましたが、私もその通りだと思います。
皇位というものはその宿命を背負った者が果たす役割であり、それはこれまでの伝統に則った形で継承されます。
家や財産のように、「できれば自分の子供に継がせたい」という類のものではないですし、ましてや女性の地位向上や日本の閉塞感を打破するために、恣意的に継承者を変えられるというものではありません。
今上陛下や雅子皇后がそのことをお知りにならないということは考えられないということです。》(shinkimuさん)

コメントしないと書きましたが、再度気になることがありましたのでサイト主様申し訳ないのですが、コメントします。
「これまでの伝統に則った形で継承されます。」の伝統て何でしょう。
明治時代に定められた継承の仕方ですか。
側室制度は廃止されましたよね。時代に合った変更をしていくことが伝統ではなでしょうか。
両陛下が、家や財産のように、「できれば自分の子供に継がせたい」という類のものと考えていると思っているのですか。
天皇陛下は皇統の歴史を背負っておられます。その運命とともにお子様に継いでいってもらいたいのではないでしょうか。
「今上陛下や雅子皇后がそのことをお知りにならないということは考えられないということです。」なのですか。
過去には女性天皇は存在しました。日本国憲法に男女平等が定められ、明治時代に存在した「男尊女卑」の考え方もあらためられています。
なぜ娘が天皇に即位することを望んではいけないのでしょうか。》(ナクラさん)

対話は結局平行線を辿っていますが、だからといって対話そのものが無意味であったわけではありません。
互いの主張が整理されることで、それを第三者が読んで理解を深めることが期待出来ます。
例えば、私はお二方それぞれの主張どちらにも与する者ではありませんが、いくつか気付いたことや思ったことなどがあります。
その私の考えをここですべて表明することはしませんが、少しだけ。

shinkimuさんは皇族には一般人には認められている自由や権利がほとんどなく、ご自身の意思を自由に表明する権利すらないと仰っていますが、私はそうは思いません。
皇族方は普段の暮らしの中では存外に自由に過ごされているように見受けられます。
それこそかつてはmixiをやっていた方もいましたし、パーティの席でモンローの扮装をしてハッピーバースデープレジデントなんて歌った方もいたと聞きます。
最近ではインスタでジャニヲタぶりを発揮されている女性皇族もいるという話です。
自由恋愛を楽しんだり、レゲエダンスやヒップホップをたしなまれているのは有名な話であり、ビバ波瀾万丈などとノリノリでイケイケな具合であることは疑う余地はありません。
それこそ大好きな柏原芳恵のコンサートに行って、一般のファンでは適わないであろうVIP待遇でタレント本人と接触することまで許されるのですから羨ましい限りです。
柏原芳恵のファンを公言出来るってなかなかの自由さだと思います。
当時ならせめて榊原郁恵ならまだ純朴な青年皇族を演出出来ますが、どちらかといえばセクシー路線の柏原芳恵のガチオタってなかなかハードコアです。
今で言えば、深田えいみファンだと公言するみたいな感じなのではないでしょうか。
皇族があらゆる自由を奪われているなどというのは幻想です。
それこそ海の王子とニューヨークに行く以上の自由を満喫しているし、一般人では叶わないVIP待遇を受けています。
大衆に一挙手一投足注目されるのはそれなりにウザいでしょうし、そこにはご同情申し上げますが、だからといって国民の生贄と評するのは言い過ぎだと思います。
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それこそ一般人だってパブリックの場では自由気ままな発言などおいそれとは出来ないものなのではないでしょうか。
社会人としての立場があればあるほど発言には制限がかかります。
そんなことは当たり前の話であり、皇族に限った話ではありません。
天皇及び皇族方が公式に述べられた発言から皇位継承も含めたさまざまなことを読み解くことは可能でしょう。
イボナメクジこと小林よしのりが「天皇や皇族は発言権がない」などと言うのは先回りして口封じしている印象さえ受けます。
天皇には自由意思がないとしておけば、宮内庁発表も含めた皇室からの公式メッセージについて、「あれは天皇の本心ではない。時の政府に言わされているのだ」と言えちゃえますからね。


さて、最後にナクラさんとshinkimuさんのやりとりを読んだ方からの感想を紹介して今回は〆させていただきます。

皇室関係に疎い私にとっては面白くて有意義なやり取りです。これ以上コメントしませんなどと言わずに対話を続けて欲しいです。
ナクラさんは、まるで時の政府が勝手な法律をデッチ上げて天皇を無理やり従わせているかのような書きぶりで、だから皇嗣を文仁親王とした宣明も天皇の意志ではないとしますが、それなら何をもって天皇の意志とするというのか?何か説得力のある根拠を示せるのでしょうか?
一般国民としては、天皇が公に表明されたことを受けとめればいいのでは?
逆に天皇が私心を出せないのをイイコトに「我こそが天皇の真意を知るものなり」という輩をのさばらせるほうが問題だろうと感じます。
時の政府にしてもきちんと法にのっとって事をなしているわけだし、天皇がそれに従うのも当然であって何も問題はないのでは。
というわけで、私としてはshinkimuさんの言い分のほうに理を感じます。》(記録を残すさん)

この記事へのコメント

ナクラ
2023年02月26日 01:43
shinkimuさん

「明治典範は皇位継承について初めて明文化された」ということは、固定的な原理原則はあえて定めておらず、柔軟に対応していたということでしょう。
江戸時代に女性天皇が存在していたのですから、男子限定にしたのは明治時代からです。

「正統性を有した皇位継承者が、現時点で一人」になって大丈夫だと思っているのですか。
結婚のことで言えば、一人と複数では安定性に違いが出ます。
愛子天皇の結婚等が不調に終わったとしても、悠仁親王のお子様(男でも女でも)に皇位をたくすことはできます。

「「即位後に結婚」「即位後に出産」した女性天皇は1人もおられません。」は事実ですが、令和は短いと思っているのでしょうか。順調にいけば、今上陛下が80歳になられる時にお孫様は生まれていると思いますが・・。

蛇足について
引用文を一部省略した部分はあり言葉足らずですが、誤読はないと思いますよ。
両陛下に対して、「恣意的に継承者を変えられるという」ことはできないと「知りに」なっているよな・・。
とは、不敬すぎて私は書けません。
そんなつもりは無いと言われるのかもしれませんが、前半を書くだけで文脈的に匂わせています。
私にはそう感じられました。

認知バイアスの話以降は、感情的になっているように見受けられるので、コメント控えます。
shinkimu
2023年02月24日 12:48
・鷲ヲさんへの回答(回答になっているかどうかわかりませんが)

「開かれた皇室」という言葉が持て囃されるようになったのはいつの頃からだったでしょうか。

いつも申し上げていますが、皇室について「こんな人権侵害も甚だしい界域は現代の日本にはそぐわない、一刻もはやく解体して、皇室の方々も解放して差し上げるべきだ。」という左翼の考えは私はまったくスジの通った考えだと思います。

ところが、「我が国に皇室を存続させてこの先何千年も揺るぎないものとして存在していただきたい」と願うのに、皇室にこのような近代の人権感覚を最大限にを持ち込むことをよしとすることは矛盾であるし、無責任な態度であると思わざるを得ません。

今現在皇室が存続の危機に陥っているそもそもの原因が、GHQが行った旧宮家の臣籍降下を含む占領政策にあることは間違いがないですが、批判を恐れずあえて言いますと、昭和天皇と上皇陛下が推し進めた近代化のための改革、すなわち、「時代にあった変更をしていくべき」という考え方にもその一端はあると私は思います。 

皇室も現代に生きる生身の人間の集まりです。極めて制限されたものであるとはいえ、自由や人権が全くないところで存続することは難しいでしょう。
その中にいるご本人たちにとっては、牢獄に繋がれるようなものですし、国民の支持も得られることはありません。

眞子さまと小室氏との問題についても、近代の人権感覚を是とする立場ならば、起こるべくして起こった問題で、今後この流れを堰き止めることは難しいかと思います。

この問題について根本的な解決策が見つかるとは思いませんが、昨今の報道のありようなどを見ていると、少なくても「開かれた皇室」という言葉に一定の歯止めをかけなければならない時期には来ていると思います。

それは繰り返しますが、「我が国に皇室を存続させてこの先何千年も揺るぎないものとして存在していただきたい」という立場に立つのであればということですが。

三島由紀夫は『英霊の聲』の中で、英霊たちに「などてすめろぎは人間(ひと)となりたまいし」といわせています。

三島由紀夫の数々の予言は没後50年以上を経てどんどん重みを増しておりますが、皇位継承問題に限らず、日本国が古代から持つファンタジーの存続が、いよいよ風前の灯として難しい局面に差し掛かっていることは厳然たる事実として眼前にあります。
shinkimu
2023年02月24日 10:00
ナクラさんへの回答

皇室の伝統を、明治時代に定められたと仰る方がいますが、明治典範は皇位継承について初めて明文化されたということに過ぎず、それ以前から皇統はずっと同じ原理原則で繋がれてきました。

「時代にあった変更をしていくべき」ということ、それを認めるにやぶさかではありませんが、原理原則を捻じ曲げてしまうということはその本質的な存在意義までも失われてしまうということです。
それは「時代に合わせた変更」の範疇を超えています。

百歩譲って、正統性を有した皇位継承者が、現時点で一人もいらっしゃらないということなら話もわかるのですが、紛れもない正統性を持った後継者が現実にいらっしゃるのに、それを飛び越えて、愛子さまに皇位を継承させたいという情熱はどこから来るものなのでしょうか。

悠仁親王が天皇に即位されたとして、そのお妃選びは困難を極めるということは巷間言われる通りと私も思います。
しかし仮に愛子さまが皇位継承され女性天皇になられたとして、そのお相手選びはどういうものになるのでしょうか。

悠仁様のお相手選びとは全く次元が違う問題です。
8人10代の過去の女性天皇をみても、「即位後に結婚」「即位後に出産」した女性天皇は1人もおられません。
愛子様もおそらく、少なくてもご自身の望むような形での結婚は一生できないでしょう。
良い悪いの判断はここでは差し控えますが、それが歴史の重みというものです。

天皇皇后両陛下の内心を想像するなど意味のないことではありますが、人の親として、自分の娘がそういう運命に巻き込まれることを望む親がいるのかということです。
いわんやご本人がです。
繰り返し申し上げますが、すでに正統性を持った皇位継承者はおられます。
現段階で愛子様がそれを望まなければならない理由はどこにもないはずです。

・以下、蛇足ですが、

ナクラさんは私の書いた短い文章も明らかに誤読をしている部分があります。
これは認知バイアスというもので、自説に固執するあまり視野狭窄に陥ってるためかと思われます。
議論をする際に何よりも心がけなければならないのは、相手の話を傾聴し理解に努めるということです。
これを忘れて「論破祭り」などとうそぶいているユニークな団体がありますが、行くも地獄戻るも地獄の悲惨な無間地獄に陥り身動きが取れなくなっています。
他山の石以って玉を攻むべしかと思います。

偉そうな言い方で誠に申し訳ありません。自戒を込めて申し上げさせていただきました。

(鷲ヲさんへの回答は稿を改めます。)